Release 劇場公開(追加情報)
東京芸術劇場Presents木ノ下歌舞伎『三人吉三廓初買(さんにんきちさくるわのはつがい)』 “公演詳細発表”
2024年6月27日
東京芸術祭2024 芸劇オータムセレクション
東京芸術劇場 Presents 木ノ下歌舞伎『三人吉三廓初買』
【日程】2024(令和6)年9月15日(日)~29日(日)
【会場】東京芸術劇場 プレイハウス
【作】河竹黙阿弥
【監修・補綴】木ノ下裕一
【演出】杉原邦生[KUNIO]
【出演】
田中俊介 須賀健太 矢部昌暉 / 藤野涼子 小日向星一 深沢萌華
武谷公雄 高山のえみ 山口航太 武居 卓 田中佑弥 緑川史絵
川平慈英 / 緒川たまき 眞島秀和
スウィング 佐藤俊彦 藤松祥子
一般発売開始 7月20日(土) 10:00
(他、長野(松本)、三重、兵庫公演有り)
東京芸術祭2024参加演目として、木ノ下歌舞伎が東京芸術劇場プレイハウスに初登場!
木ノ下歌舞伎×杉原邦生のタッグの集大成。
疾風怒濤、5時間の一大エンターテイメントがついに大舞台へ!
東京芸術劇場では、主催公演として、東京芸術祭2024参加作品 木ノ下歌舞伎『三人吉三廓初買』(さんにんきちさくるわのはつがい)を上演します。
2006年に京都で活動を開始し、数々の古典作品を現代劇化してきた木ノ下歌舞伎(通称:キノカブ)。監修・補綴の木ノ下裕一(木ノ下歌舞伎主宰)、演出・美術の杉原邦生によりシアターイーストにて長期公演を行った東京芸術祭2023参加作品、木ノ下歌舞伎『勧進帳』は東京ほか全国6都市で好評を博しました。今秋、このタッグの代表作のひとつで、「当今のシェイクスピヤ(我が国のシェイクスピア)」(©坪内逍遥)とも評された歌舞伎作者のレジェンド・河竹黙阿弥による最高傑作に挑んだ『三人吉三廓初買』をひっさげ、満を持してプレイハウスに初進出を果たします。
キノカブ版『三人吉三』は、2014年に初演、翌年、東京芸術劇場が若手演劇団体と提携して公演をおこなう“芸劇eyes公演”としてシアターウエストに初登場し、読売演劇大賞2015年上半期作品賞部門のベスト5に選出されました。数奇な運命に翻弄されながら疾走する、和尚、お坊、お嬢という“三人の吉三郎”の物語と、現行歌舞伎ではカットされている、商人と花魁の恋をめぐる廓の物語がダイナミックに交錯する群像劇。黙阿弥の描いた複雑かつ多面的な登場人物たちは、過去の人びとやコミュニティだけでなく、今を生きるわたしたちの姿をも浮かび上がらせます。
9年ぶりの再演となる今回は、作品タイトルを演目の本外題である『三人吉三廓初買』に改めました。初演以来約160年ぶりの上演となった「地獄の場」を完全復活するなど、今や幻となった黙阿弥オリジナル版の全貌を見られるのはキノカブ版のみです。
変貌する時代の音を聴け!
フレッシュな顔合せで、装いも新たにお届けする、これぞ木ノ下歌舞伎版『三人吉三』の決定版!
物語の中心となるのは同じ「吉三郎」の名をもつ三人の若者です。兄貴分の和尚吉三を演じるのは、今年2月にプレイハウスで上演した『インヘリタンス』での圧倒的なエネルギーによる熱演が記憶に新しい田中俊介。血気盛んなお坊吉三は、幼少期から活躍を続け、昨年は演出家デビューを飾るなど舞台での活動が注目される須賀健太。女装の盗賊・お嬢吉三は、音楽、俳優活動ともに精力的におこなう矢部昌暉が演じます。また、和尚吉三の父親・伝吉として近年ストレートプレイでも珠玉の演技を見せる川平慈英が登場します。
もう一つのストーリーラインを動かす、お坊吉三の妹・花魁一重に、若くして着実に俳優としてのキャリアを築く藤野涼子。一重に恋する商人・文里に、渋さと色気を兼ね備えた演技で舞台に映像に存在感を示す眞島秀和。文里の女房・おしづに、魅力あふれる演技で、舞台で目覚ましい活躍を続ける緒川たまきの顔ぶれがそろいました。「吉三郎」の物語と「廓話」の物語の両方をつなぐキーマン・十三郎は小日向星一が演じ、十三郎とめぐりあうおとせをオーディションで抜擢された深沢萌華が演じます。また、木ノ下歌舞伎や杉原邦生演出作品を支えるおなじみの個性派、武谷公雄、高山のえみ、山口航太、武居 卓、田中佑弥、緑川史絵が、豊富な舞台経験で物語の世界観を作り上げます。
さらに、昨年『勧進帳』公演では、スウィング俳優が本役として出演する「スウィング公演」の試みが高い評価を頂きました。今回もご好評にお応えして実施予定ですので、こちらもあわせてご期待ください。
幕末動乱期の初演当時より、その時代を映し出し、今もなお愛され続けている物語が、同じく変化と激動のまっただなかにある現代(いま)を撃つ。木ノ下が新たに補綴した台本と、近年さらにスケール感を増す、杉原の鮮烈かつ緻密な演出。充実のコンビが多彩なキャストと繰り広げる一大群像劇をどうぞお楽しみに!
木ノ下歌舞伎主宰 /『三人吉三廓初買』 監修・補綴
木ノ下歌舞伎
歴史的な文脈を踏まえつつ、現代における歌舞伎演目上演の可能性を発信する団体。あらゆる視点から歌舞伎にアプローチするため、主宰である木ノ下裕一が指針を示しながら、さまざまな演出家による作品を上演するというスタイルで、京都を中心に2006年より活動を展開している。
木ノ下裕一 コメント
日本文化の上澄みだけを掬い出して“美しい国”をアピールする昨今の風潮においては、歌舞伎もまたはその道具の一つにすぎないのかもしれません。しかし、江戸情緒を謳い上げた歌舞伎作者と目されている河竹黙阿弥の会心の作『三人吉三』は、幕末という時代の転換期の光と闇を包み隠さず描き切ったショッキングな作品でした。
震災(安政の大地震)や疫病(コレラ)の大流行という受け止め難い現実に対して、死んだ者と生きる者へ万感の愛惜を込めて筆を握り、立ち向かった黙阿弥のパッションを現代に蘇らせたいと思っています。
<木ノ下裕一 Kinoshita Yuichi>
木ノ下歌舞伎 主宰。 1985年和歌山市生まれ。2006年、京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)在学中に古典演目上演の補綴・監修を自らが行う木ノ下歌舞伎を旗揚げ。代表作に『三人吉三』『娘道成寺』『義経千本桜―渡海屋・大物浦―』など。 2016年に上演した『勧進帳』の成果に対して、平成28年度文化庁芸術祭新人賞を受賞。第38回(令和元年度)京都府文化賞奨励賞受賞。令和2年度京都市芸術新人賞受賞。平成29年度京都市芸術文化特別奨励制度奨励者。 渋谷・コクーン歌舞伎『切られの与三』(2018)の補綴を務めるなど、古典芸能に関する執筆、講座など多岐にわたって活動中。2024年からまつもと市民芸術館(長野)の芸術監督団長。
『三人吉三廓初買』あらすじ
江戸時代。刀鑑定家・安森源次兵衛の家は、何者かにお上の宝刀・庚申丸を盗まれて断絶となっていた。ある時、立身出世を目論む釜屋武兵衛は、巡り巡って木屋(刀剣商)文里のもとにあった庚申丸を金百両で手に入れる。しかし文里の使用人・十三郎は、その取引の帰り道、夜鷹(街娼)・おとせと出会い、受け取った百両を紛失。思いがけず百両を手にしたおとせだったが、十三郎を探す道すがら、女装の盗賊・お嬢吉三に百両を奪われてしまう。
様子を見ていた安森家浪人・お坊吉三は、お嬢吉三と百両を巡って争うが、そこに元坊主・和尚吉三が現れる。彼がその場で争いを収めたことで、三人は義兄弟の契りを結ぶ。
また、失意の十三郎は、川に身投げしようとしたところを、和尚吉三の父・伝吉に拾われていた。
訪れた伝吉の家で、彼はおとせと再会し…。一方、吉原の座敷では、文里がお坊吉三の妹で花魁・
一重に想いを寄せていた。人柄で評判の文里だったが、彼には妻子があった。文里の求愛を一重が
拒みつづけていたある日、文里は、ある決意を座敷で語りはじめる。